2021.03.07

「ハルカの光」第4話では、私の憧れ、
イタリアの名作照明「アルコランプ」の
開発秘話も聞けて、ワクワクしました

3月1日、19時25分からNHK Eテレで放映された「ハルカの光」4話は、私個人的にとてもワクワクした、特にうれしい番組でした。なぜなら、私が長年憧れている照明がピックアップされたからです。

 第4話は、謎めいた女性がお店を訪れました。その女性は「人はいつも光を求めている」と、この店の店長の口癖をそらんじ、照明を“この子”と呼び、店内の名作照明について熱く
語ったあげく、「私の大切な人が照明に詳しかったわ。その人は光と心中したの。だから私は光を好きではない」と言って帰って行きました。

 その女性が語った照明は、FLOS社を代表する「アルコランプ」。ARCOはイタリア語でアーチという意味。その名のとおり、重厚な大理石のベースからステンレスのポールが華麗なアーチを描く姿はあまりに有名。1962年に発表されて以来、今日でもプロダクトデザインを語るうえで、欠かすことのできない近代照明の名作です。

 デザイナーのアレッキ・カスティリオーニは兄のピエール・ジャコモともにこのランプを開発しました。アレッキは1918年、イタリア・ミラノ生まれ。ミラノ工科大学建築家を卒業後、1944年からピエール・ジャコモとともに建築家・デザイナーとしてのキャリアをスタート。1962年のFLOS社創設時にデザイン部門責任者として兄弟で参画します。新しいテクノロジーと多様な素材を用いて家具や照明、都市計画に至るさまざまな世界で活躍。
FROS社からは「アルコ」の他、「ヴィスコンティア」「タッチア」「トイオ」など、従来の発想にとらわれない斬新な切り口による傑作を多数世に送りだしました。1970年からはミラノ工科大学建築家教授として、若い才能を育てることにも大きく貢献。デザイナーの個性を主張するのではなく、使う人、生活者の視点でモノづくりを続けたアレッキ・カスティリオーニの仕事は世界的に高い評判を受けています。
さて、「アルコランプ」は、どうしたら天井に穴を開けないで光を灯せるか、という発想から開発されたそうです。カスティリオーニ兄弟は街の街頭からインスピレーションを得て、アーチを描くポールを使った照明を思いつき、好きな位置に配置することができるペンダントライトを完成させました。ベースから光源のシェードまでの距離は2m20cm。これはダイニングテーブルの中央にシェードがくるように設置した際に、イスの後ろを人がひとり通れる微妙なバランスになっています。

 また、お部屋を広く照らすフロアライトとしても使え、ソファまわりにあしらっても
すてきなリビングをコーディネートします。シェードには、上方向にも光が広がるように穴が空いていて、幻想的な光空間を演出します。また、2重のシェードは、外側を回転させると光の方向を変えることができ、ライティングの変化を楽しむこともできます。シェードを低い位置にもってくれば、本そ読むときなどの手元灯にも。カッコイイモダンな照明は実は実用性もたくさんもっているのです。

 いつかはこの照明をLDKに置くのが私の夢のひとつです。さて、8日の「ハルカの光」では、どんな照明のお話が展開されるでしょう? 楽しみですね