2021.03.13
名作照明店を舞台にした「ハルカの光」も
最終回。ハルカを照明の虜にした照明は?
ご両親の新しい家のために選んだ照明は?

月曜日19:25~19:55、NHKE テレで放送されたドラマ「ハルカの光」は3月8日に最終回を迎えましたが、前週の第4話で、東日本大地震を経験しているハルカが名作照明専門店「エクラ」で働くようになった、ある照明との運命的出会いを語っています。その照明とは、「HERE COMES THE SUN(ヒア・カムズ・ザ・サン)。この照明はフランスの著名な建築家、ベルトラン・バラスが1970年に発表したペンダントライト。1969年に発表されたビートルズのアルバム「アビイ・ロード」の収録曲のタイトルから名付けられたことでも知られています。

バラスがガロンヌ川に沈む夕日にインスパイアされ、デザインしたペンダント照明で、魔法のような幻想的な光を放つアルミ製の球形のシェードは、下方へ十分な光が放されると同時にシェードの中央から関節光が優しく広がります。太陽が昇り、また沈む、そして月が現れる、その一連の幻想的な時間を表現しているかのような照明は、見る人の気分によって、日の出や日中の太陽、さらには、月の光のようにも感じられます。発表されたとき、たちまち話題になりましたが、現在でもフランスの多くの人に愛されているペンダントランプ。
ハルカは、通りすがりにこの照明を見たとき、漁師のお父さんが漁に出て、帰ってくる漁船の光――陸に近づくにつれて、だんだん大きくなり、お父さん、今日も無事に帰ってきたとホッとする光と重なり、その場を動けなくなった、まさに“運命的な出会い”だったと言っています。そして、「人はいつも光を求めている」という店長さんと意気投合、店番として、ここで働くことに。毎日美しい照明に囲まれて、照明の魅力にどんどん惹かれるとともに、東日本大地震で負った心の傷も光の温かさで、次第に癒やされていきます。
さて、最終回の第5話。ハルカと店長が、ある名作照明を眺めていると、挙動不審な男が
現れます。その人は、東北から訪ねて来たハルカの父でした。父は震災以来、ギクシャクしていたハルカと母の間を取り戻そうとしていました。そして、思い切って新しい家を建てようと思っていること。そこにハルカの存在を感じられる照明を置きたいと告白します。そしてそれは母の願いでもあると・・・。父の話を聞いて、ハルカが選んだのは、北欧の名作照明、ポール・ヘニングセンデザインのテーブルランプ「PH3/2 Table」でした。
ハルカは、通りすがりにこの照明を見たとき、漁師のお父さんが漁に出て、帰ってくる漁船の光――陸に近づくにつれて、だんだん大きくなり、お父さん、今日も無事に帰ってきたとホッとする光と重なり、その場を動けなくなった、まさに“運命的な出会い”だったと言っています。そして、「人はいつも光を求めている」という店長さんと意気投合、店番として、ここで働くことに。毎日美しい照明に囲まれて、照明の魅力にどんどん惹かれるとともに、東日本大地震で負った心の傷も光の温かさで、次第に癒やされていきます。
さて、最終回の第5話。ハルカと店長が、ある名作照明を眺めていると、挙動不審な男が
現れます。その人は、東北から訪ねて来たハルカの父でした。父は震災以来、ギクシャクしていたハルカと母の間を取り戻そうとしていました。そして、思い切って新しい家を建てようと思っていること。そこにハルカの存在を感じられる照明を置きたいと告白します。そしてそれは母の願いでもあると・・・。父の話を聞いて、ハルカが選んだのは、北欧の名作照明、ポール・ヘニングセンデザインのテーブルランプ「PH3/2 Table」でした。

ポール・ヘニングセンは1894年、デンマークの女優アグネス・ヘニングセンを母としてデンマークで誕生。1911年〜14年、フレデリクスのテクニカル・スクールで、その後3年、コペンハーゲンのテクニカル・カレッジで学びました。伝統的な機能主義建築をキャリアのスタートとしましたが、だんだん興味は照明に移っていきます。そして1874年創業のデンマークの照明ブランド、ルイスポールセン社とのコラボレーションは1925年に始まり、1967年に亡くなるまで続きました。彼がパイオニアとして切り開いてきた照明分野の業績―影と光、グレア、光による色の再現、そしてそれら光の特性を人間の福利に結びつけるように利用することーは、今もルイスポールセン社のセオリーの基礎に。それゆえヘニングセンは近代照明の父とも呼ばれています。また、ヘニングセンはジャーナリスト、作家としても活躍しました。
ポール・ヘニングセンはどうやって光をコントロールすべきか、というテーマに生涯の大半を捧げました。光源を効率よく、かつ効果的に活用するためには、対数螺旋という曲線をもつシェードが最も適していると考え、光の計算とテストを繰り返しました。ハルカが選んだテーブルランプ、PH Tableシリーズは、この対数螺旋という曲線をかたちどったシェードを3枚組み合わせたテーブルランプ。電球のフィラメントを螺旋の起点に置くことで、眩しいグレアが消え、同時にシェードが効率よく光を反射して、柔らかく心地よい光でテーブルを明るくする機能的なデザインです。1972年に発表された「PH3/2 Table」はPHシリーズのなかでも中間的なサイズ。長い年月を経ても愛され続ける名作テーブルランプです。
機能を追求することで生まれた合理的シェードですが、洗練されたカーブが重なり合うシェードは優雅さもそなえて、光を消しても空間のアクセントとして目を楽しませてくれるデザイン。いろいろなインテリアスタイルの空間にフィットする柔軟性も持ち合わせ、また、小ぶりサイズなので、いくつか並べても圧迫感がなく、美しいインテリアをつくってくれます。こうした点も傑作といわれる理由でしょう。ハルカはご両親の新しい家に、決して主張しずぎず、優しくおさまる北欧のテーブルランプを選んだのでした。
今回で名作照明店を舞台にした「ハルカの光」は最終回。とても残念です。もっとたくさん美しい照明を見たかった。第2部が放映されることを心から祈っています。また、照明だけでなく、椅子やソファなど家具にも、世界の名作はたくさんあります。なかなか目にすることができないこういう家具や照明。テレビドラマのなかでたくさんの人の目にふれて、よさを感じてもらい、普及すればいいな、と期待&祈念します。
ポール・ヘニングセンはどうやって光をコントロールすべきか、というテーマに生涯の大半を捧げました。光源を効率よく、かつ効果的に活用するためには、対数螺旋という曲線をもつシェードが最も適していると考え、光の計算とテストを繰り返しました。ハルカが選んだテーブルランプ、PH Tableシリーズは、この対数螺旋という曲線をかたちどったシェードを3枚組み合わせたテーブルランプ。電球のフィラメントを螺旋の起点に置くことで、眩しいグレアが消え、同時にシェードが効率よく光を反射して、柔らかく心地よい光でテーブルを明るくする機能的なデザインです。1972年に発表された「PH3/2 Table」はPHシリーズのなかでも中間的なサイズ。長い年月を経ても愛され続ける名作テーブルランプです。
機能を追求することで生まれた合理的シェードですが、洗練されたカーブが重なり合うシェードは優雅さもそなえて、光を消しても空間のアクセントとして目を楽しませてくれるデザイン。いろいろなインテリアスタイルの空間にフィットする柔軟性も持ち合わせ、また、小ぶりサイズなので、いくつか並べても圧迫感がなく、美しいインテリアをつくってくれます。こうした点も傑作といわれる理由でしょう。ハルカはご両親の新しい家に、決して主張しずぎず、優しくおさまる北欧のテーブルランプを選んだのでした。
今回で名作照明店を舞台にした「ハルカの光」は最終回。とても残念です。もっとたくさん美しい照明を見たかった。第2部が放映されることを心から祈っています。また、照明だけでなく、椅子やソファなど家具にも、世界の名作はたくさんあります。なかなか目にすることができないこういう家具や照明。テレビドラマのなかでたくさんの人の目にふれて、よさを感じてもらい、普及すればいいな、と期待&祈念します。