2020.12.22

サンタクロースはきっといる!
だから夢をかなえてくれるのです

来年にはもう30歳にもなろうかという、私の甥っ子も、クリスマス大好き。小さい頃は、12月になると、欲しいものを詳しく手紙に書き、フィンランドのサンタクロースに送り、イブの夜に届けてもらうのを首を長くして、待っていました。そんな甥が、ある日、私に聞きました?「サンタクロースって、本当にいるの?」

私は、1冊の小さな絵本を、「これを読んでごらん」と彼に渡しました。その絵本とは、まさに『サンタクロースっているのでしょうか』(偕成社)。子どもの素朴な質問にこたえ、目に見えないもの、心の大切さを語りかけた約100年前のアメリカの社説を絵本にしたものです。

「サンタクロースっているんでしょうか?」―この素朴な質問を約100年前、新聞社に投書した少女がいました。名前はバージニア・オハンロン。この投書を受け取ったニューヨークのサン新聞社では、社説で味わい深く答えました。書いたのはベテラン記者のフランシス・P・チャーチ。

きしゃさま
あたしは八つです。あたしの友だちに「サンタクロースなんていないんだ」っていっている子がいます。パパにきいてみたら、「サンしんぶんに、といあわせてごらん。しんぶんしゃで、サンタクロースがいるというなら、そりゃもう、たしかにいるんだろうよ。」と、いいました。
ですから、おねがいです。おしえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?
バージニア・オハンロンサン新聞の社説
バージニア、お答えします。サンタクロースなんていないんだという、あなたのお友だちはまちがっています。

―そう、バージニア、サンタクロースはいるのです。サンタクロースがいる、というのは、この世のなかに愛や、優しさや、思いやりがあるのと同じくらい、たしかなものです。
もし、サンタクロースがいなかったらとしたら、この世はどんなにつまらないことでしょう!

サンタクロースがいなかったら、すなおに信じる心も、詩も、夢のような物語もなく、人生はちっとも楽しくないでしょう。わたしたちが、喜びを感じるのも、目でさわったり、聞いたりできるものだけになってしまいます。

ー目に見えない世界は、1枚のカーテンでおおわれていて、どんな力持ちも、力持ちが何十人集まっても、そのカーテンを、引きさくことはできません。そのカーテンを開けることができるのは、信じる心、想像力、詩、愛、夢見る気持ちだけなのです。
そういう心があれば、カーテンのむこうにひろがる、美しく、きらきら輝かしい世界をみることができるのです。

そんな世界は幻ではないかって?バージニア、カーテンのむこうのそんな世界こそが、本当であり永遠なのです。

―うれしいことに、サンタクロースはちゃんといるし、これからもずっと生きつづけることでしょう。今から1千年たっても、いえ、その百倍の月日が流れても、サンタクロースは子どもたちの心の喜びとして、ずっとずっと、生きつづけることでしょう。(サン新聞社説の抜粋)

この絵本を読んでから、甥っ子は、「サンタクロースっているの?」と聞かなくなりました。きっと彼のなかで、サンタクロースとはどういう人が理解できたのでしょう。
私も歳とともににぶってくる、想像力、信頼とロマンスを大切に生きたい、とクリスマスを迎える度に思います。もし、あなたがお子さんに「サンタクロース」っているの?ときかれたら、なんと答えますか?